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言葉と物語、創作小説

模倣と反復の恋愛

いまや恋愛は、メディアを通じて大量消費される幻想を、模倣と反復によって男女間で共有することに過ぎないのではないか。
斎藤環『博士の奇妙な成熟』日本評論社

 恋愛もののドラマは多い。見ないから内容は知らないけれど、よくこれだけラブストーリーがあるものだと思う。美男と美女が主人公のものばかりで、きっと似たようなドラマが多いのではないだろうか。こうして恋愛は大量消費され、それを刷り込まれた大衆がそれに憧れていく。

 流行っているものは自分も取り入れなければならないという強迫観念のようなものが最近あるように思う。韓流が流行っているから韓流のファッションをして韓流のアイドルを追いかけなければならない、インスタグラムで「映える」写真や動画が流行るから、自分も「映える」ものを探してアップしなければならない、そういう無言の圧力のようなものが蔓延しているように感じる。

 そういう時代では、恋愛も「模倣と反復」にすぎなくなるのだろう。「消費」されているのは「幻想」だけではなく、恋愛そのものではないだろうか。