センチュリー・プラントにようこそ

言葉と物語、創作小説

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

模倣と反復の恋愛

いまや恋愛は、メディアを通じて大量消費される幻想を、模倣と反復によって男女間で共有することに過ぎないのではないか。(斎藤環『博士の奇妙な成熟』日本評論社) 恋愛もののドラマは多い。見ないから内容は知らないけれど、よくこれだけラブストーリーが…

偏愛

偏愛は、強烈な好き嫌いを伴っている。世界中の誰もが嫌悪しても、自分はこの作品にシンパシーを覚える、それが偏愛だ。(村上龍『すべての男は消耗品である。最終巻』幻冬舎) どうしても好きな作品というのがある。誰が何と言おうと、この作品が好きだ、と…

頼まれもしないのに

「ネット・デビュー」とかいって。頼まれもしないのに、勝手に書いているだけじゃないかと思うけど。(渡部直己『必読書150』太田出版) ギャー!! 頼まれもしないのに勝手に書く。書く以上は誰かに読んでもらいたいのだろうが、浅ましい気もする。誰も読ま…

なぜ言葉が必要なのか

言葉が必要なのは、相手と自分とが独立した別個の人格であり、悲しいことに決して一心同体ではないからである。(武井麻子『精神看護学ノート』医学書院) 言葉がなくてもコミュニケーションを取ることが可能な場面はありそうな気がする。たとえば、ただ手を…

下手というのは、許せないこと

下手というのは、許せないことだからね。 (村上龍『友よ、また逢おう』角川文庫) 他人の作品を見るとき、簡単に「下手だなあ」と思ったりする。自分が傲岸不遜というわけではなく、シンプルにそう思ってしまうことがある。なのに、自分の作品に関しては自…

読む体力

あらゆるけがれを一身に背負った犠牲が、死せる王として中心0の座につくのである。 (浅田彰『構造と力』勁草書房) かっこいい文章だ。かっこいいけれど、何が書いてあるかぜんぜん意味がわからない。この本はとてもおもしろくてかっこよかったけれど、何が…

眠れぬ夜に

厨二病を気取っているわけでもなんでもなく眠れないだけである。今日は仕事なので5時に起きなければいけないのだが、眠れぬまま午前1時17分だ。2時間以上布団でゴロゴロしてもうアカンと起きてきた。犬はともかく猫も家猫なのでこの時間帯は寝ている(猫は3…

生きる喜び

怒りは欲求が満たされないときの反応だから、怒りの表現を恐れるということは、欲求することそれ自体を恐れるということになります。そこから始まるのが、感情の鈍麻であり、怒りと共に、喜びの感情も消えていきます。欲求し、それを満たすという「生きる喜…

愛という幻想

愛し合う男女といえば、あらぬ幻(イマージュ)を求め合っては空しくすれ違いを繰り返すものの典型ではなかったか。 (浅田彰『構造と力』勁草書房) このブログと同名の拙作「センチュリー・プラントにようこそ」の主人公の賢治は、愛しかたも愛されかたも…

書いている者としての嫉妬

創作小説、と説明文に書いてわざわざ「創作」とつける必要があるのか、と思った。ただ私は同人活動という範囲の中で書いているが、同人の世界では小説と言えば「二次創作」の小説が多数を占めている。「文字書き」といえば、「二次創作」の文章を書いている…