センチュリー・プラントにようこそ

言葉と物語、創作小説

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

わくわくしたくない

自分で音をつくるときに、自分でも一生懸命に考えて納得できる理由がないので、何故か分からないんですが、例えばこの音はこうしたいっていうのがありますね。コンピュータを使うと、必然的に、それを一回数字に置き換えることになるわけで、それが安心でき…

好かれること

だれでも人からは好かれたいし、まただれかから好かれることが必要であるが、すべての人から常に愛されたいと思うのは、おとなの態度ではない。(G.バートン『ナースと患者』医学書院) 誰でも人からは好かれたい、というのは裏返しても、誰からも嫌われたく…

たとえもはやこの地上に何も残っていなくても

たとえもはやこの地上に何も残っていなくても、人間は――瞬間でもあれ――愛する人間の像に心の底深く身を捧げることによって浄福になり得るのだということが私に判ったのである。 (ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」みすず書房) 解説には、この本の原題…

偏り

好きな本の文章の一部を引用して書いているが、偏りがあることに気づいた。村上龍関係の本が圧倒的に多い。その他、坂本龍一、北杜夫、中井久夫、斎藤学、浅田彰、柄谷行人、渡部直己、そのあたり。 好きなのだからしょうがないとも思うし、読んでくれる人が…

誰も読んでくれなかったら

誰も読んでくれなかったら小説ではない。(奥泉光『文芸漫談』集英社) 一人でPCでワード(もしくは類似のソフト)で小説をコツコツ書いていて誰の目にも触れなかったら、小説ではないのだろうか? そういった根本的な問題はおいておく。 商業と同人では話が…

書きたくないこと

「私は」で始まるような文章を書きたくないと思うようになった。「私が」「私の」でも同じことである。自分の思いや考えを書くにしても、「私は」「私が」と書き始めなければ意味の通らない文章を書きたくなくなった。見苦しいからだ。おまえの思いも考えも…

「OZ」

「こんな所まで来たんだから、新兵器でも欲しいのかと思ったよ」 「その必要はありませんよ。これだけ戦争が起これば兵器はいやでも進歩する」 「そうとも。ホモ・サピエンスは結局 戦争という手段でしか人工調節も発展もできやしないのさ」 (樹なつみ『OZ…

憎しみのない愛はない

ローレンツは「憎しみのない愛はない。愛のない憎しみはない」ってうまい言い方をするわけです。性による男女の結合なんていうのは、ほんとうにそうだと思います。そういうものすごく矛盾した両義性を持っているんだと思いますね。(村上龍・坂本龍一『EV.Ca…

北杜夫という人

「どうだい、あれの印象は?」Hは夜空に異形な姿をさらしている大ゴシック建築のほうをすかしながら訊いた。「凄いな、たしかに」と私は呟いた。「しかし、ああ徹底的に凄くっちゃむしろ反感を覚えるよ」「僕もそうだ」と、Hは夜の街角に立っている娼婦ら…