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言葉と物語、創作小説

プライド

絶望した時に発狂から救ってくれるのは、友人でもカウンセラーでもなく、プライドである。
村上龍『すべての男は消耗品である。』角川文庫)

 対人支援職をしているが、相手に解決を求められることが多い。私は友人でもカウンセラーですらないので、困るし、いらだちを覚える。自分で考えてもらうことなので、答えは出さないし、出ない。そういう人は、プライドがないのだろうか?

 辞書によると、「pride」には、自慢、満足感、自尊心、誇り、うぬぼれ、思い上がり、などの意味があるらしい。上記の文章の中で使われているのは、「自尊心、誇り」の意味だと思われる。自尊心や誇りというのは、ふだんあまり使わない単語だ。日本の文化だと、武士の表現をするときによく使うのだろうか。

 村上龍は一貫して依存を嫌う。依存する人間はプライドを持つことができないだろう。逆に、プライドがあれば依存などできないだろう。解決を求められていらだつのは、彼らにプライドがないからかもしれない。